トロールハウゲン再訪 Troldhaugen

作曲家エドヴァルド・グリーグ(1843-1907)の家トロールハウゲンでは5月から10月頃まで毎日、グリーグ作品のピアノコンサートを開催しています。(注:グリーグの作品はほとんどがピアノ曲です)私は昨年の夏はトロールハウゲンのガイドとして仕事をしていましたので、今年もいつか訪れようと思っていました。今週は、昨年グリーグピアノコンペティションで優勝した日本人ピアニスト、高木竜馬さんのリサイタルが連日開かれていましたので、聴きに行ってきました。

200席あまりの室内楽に最適の小ホールが満席となり、この日は人気の為、さらに追加のコンサートが予定されていました、プログラムも、このコンサートシリーズではよく登場する曲ばかりでしたが、新鮮な解釈と確かなテクニックで観客を魅了し、終演時はスタンディングオベーション!このホールでは良いコンサートが度々ありますが、こんなに熱く観客に受け入れられたピアニストは滅多にいないのでは?と思いました。トロールハウゲンスタッフからの評判もとても高かったです。

このトロールハウゲンの夏のランチコンサートシリーズはいつも聞き応えがあります。それは、出演ピアニストの演奏技術の高さのみならず、多くのピアニストが趣向を凝らして、グリーグの描いた世界を話して聞かせる所にあります。グリーグの芸術家人生を語るレクチャーコンサートとも言えます。物価の高いノルウェーですが、音楽好きの方にとっても価値のあるお値打ちコンサートだなといつも思います。(因みにコンサートと博物館入場料が180NOK=2265円、街からのガイド付きバスツアーが290NOK=3650円)

このシリーズに出演するピアニストの精神的・体力的なタフさにもいつも驚かされていました。夏の半年間、ベルゲンには欧米の港からの数々のクルーズ船が到着し、街は観光客で賑わいますが、そのクルーズ船からの観光客の訪れる人気スポットの一つがトロールハウゲンです。クルーズ船が複数到着する日は、ピアニストは1日に5回も6回も演奏しますし、船のスケジュールによっては、ステージ間の休憩が十分に取れないこともしばしばです。それでもプロとして同じクオリティを提供するのを何度も見てきました。

昨日は、ベルゲンに来てから初めての夏日。気持ちの良い1日を街の郊外で満喫しました。これからベルゲンに旅行に行く音楽好きの方、トロールハウゲンは絶対オススメです。

http://griegmuseum.no/en

ベルゲンへ旅行する人へ vol.2

今日は、ベルゲンの夏の気候と旅行時の持ち物について書きます。

夏の北欧といえば、爽やかに晴れたお天気を想像する人も多いかもしれませんが、ベルゲンはほぼ毎日雨が振ります。というのも、ベルゲンが面している北海には北大西洋海流という暖流が流れていて、海流によって運ばれてくる温かい風がノルウェーの山肌に当たり、街に雨が降るからです。特に夏7-8月がよく雨が振り、そのせいであまり気温も上がりません。

逆にお天気の良い季節はいつかというと、経験では4-5月ごろと9-10月頃です。ではその頃の旅行が最適かというとそれも断言はできません。というのも、美術館や博物館などの観光客を集める施設は夏の間開館時間を長くしてガイドツアーなども積極的に行いますが、9月が終わる頃にはそういったサービスもなくなる為、案外寂しい旅行になってしまう可能性があるからです。

もう一つの北欧の夏の特徴は夜が長い白夜です。ベルゲンの場合は日は沈むのですが、北極圏など北ノルウェーの方ではミッドナイトサンといって一日中陽が沈まない日が続くのです。一番一年の中で日が長いのが6月の夏至の頃です。ノルウェーでは各地で焚き火を焚いてお祝いします。夏至が過ぎても夜は長く、夜は12時近くまで薄明るく、朝は4時頃から徐々に明るくなってきます。

Astrup
NIkolai Asprup

そんな夏のベルゲンですが、気温の方は10度から20度くらいを想定し、北欧諸国の他の都市よりも暖か目の服装を準備した方が良いです。私は毎年、薄手のダウンジャケットが手放せませんし、今年も毎日のように着ています。薄手のウールのセーターやフリースのシャツもとても役に立ちます。20度近くになると涼しめの夏の服装で良いのですが、残念ながら冷夏の今年は10度近辺(下回る日もよくあります)を推移していますので、かなり寒いです。かといって毎年そうかというとそういう訳でもなく、例えば昨年は稀に見る猛暑で30度を超える日が続きました。ノルウェーの家庭にはクーラーがない所も多く、家の中がサウナのようになり寝苦しい夜を数えたことも。

暖かい服装に加えて必需品といえば雨具です。カバンに余裕があればレインコートも欲しい所ですが傘は必需品です。ただ雨が降るだけでなく、海に面しているのでかなり風もきつく、折りたたみの傘は値段に関わらず壊れることもしばしばですので、出来るだけ安物を選びましょう。壊れたら傘は売っています。こんな気候ですので、西ノルウェーに来てからはサンダルというものを買ったことが1度しかありません。(売ってはいるのですが)むしろ、雨靴があると良いくらいです。スニーカーにも防水スプレーを忘れずに。

といっても、夏の雨は降ってもすぐに止んで太陽が見えることもしばしばで、傘とサングラスを交互に使ったりすることも。

この夏の北欧・ベルゲン旅行のご準備の助けになれば幸いです。

ベルゲンへ旅行する人へ vol.1

私は、西ノルウェーのベルゲンという街に3年程住んでいました。それで今年もベルゲンに来ている訳ですが、あまり街のことについて書いていないので、少しベルゲンの見所について書いてみたいと思います。

まず、1979年より世界遺産にも指定されているブリッゲンBryggen地区について見ていきます。

ブリッゲンとフロイエン山

ブリッゲンというのは「埠頭」という意味で、実はノルウェーの色んな場所に「ブリッゲン」と名付けられた地区が見受けられます。その名の通り、古くから船着場として利用されていた場所で、荷下ろしをする為に建てられていた木造の小屋が今にも残る建物群の始まりとなっています。こういった小屋は1150年頃にはすでに建てられていたと考えられていて、主に北ノルウェーから運ばれてくる干し鱈を下ろしていました。当時、既に干し鱈の交易が始まっていて、元々はイングランドへと運ばれ売られていった干し鱈ですが、交易の仲介をしていたのがドイツ人商人でした。ノルウェーは寒い気候の為穀物類が不足しがちで、魚を輸出し穀物を輸入する交易が12世紀から始まっていたのです。

現在では「ハンザ同盟の海外拠点」として知られるベルゲンのブリッゲン地区ですが、ハンザ商人たちが貿易事務所を構えるようになったのは1360年以降の事です。それから1754年に至るまでこの地区はドイツ人商人の貿易事務所兼居住区として使われていました。

アンチークってなんだ
アンチークってなんだ

ブリッゲンを見るとき、見所としては①建物と地区の構造 ②ハンザ商人の暮らしぶりやハンザ同盟時代のベルゲン ③地区の歴史的変遷、など面白い観点がいくつもあるのですが、この建物群を挟むように2つの博物館:ハンザ博物館とブリッゲン博物館があり、②と③の観点は網羅しています。(注:ハンザ博物館は建物修復の為、今年から6年間閉鎖となっています。代わりに有料のガイドツアー(日本語はナシ)があり、実際に地区を回りながら見せてくれるようになっています)因みにハンザ博物館の展示内容は1700年代のハンザ商人の暮らし、ブリッゲン博物館の展示内容は1300年代のブリッゲン地区です。

というわけで、①建物と地区の構造をここでは見ていこうと思います。

その前に、面白いトリビアとして、ブリッゲン地区の海岸線はそもそも今よりも140mも内側にあったというのを忘れてはいけません。つまり、今建っている建物は埋立地になっているのです。そのせいで、建物は地盤沈下を起こし、傾いてきたりしている部分もあります。この為に、地区のあちこちで常に修復作業が行われているのです。勿論世界遺産ですから、あくまでも伝統的な工法を用い、材料も年代の合うものを使っているそうです。

ブリッゲン地区を俯瞰してみると、いくつもの長い建物が連なっているのがわかります。この長い建物郡が特徴の一つで、1棟にはいくつもの貿易事務所が軒を連ねていたそうです。この建物群は倉庫として、貿易事務所として、また従業員の居住区として機能していました。大抵、重い干し鱈などは1階の倉庫へ入れられ、2階・3階部分は事務所と住居として使用されていたのです。一つの棟はゴートと呼ばれ、それぞれ名前が付けられていました。

建物をクローズアップして見た模型です。それぞれの棟には滑車がいくつも取り付けられていて、重い荷物は滑車を使って2・3階へと運ばれました。

ブリッゲン地区は、木造の建物が密集している為、よく火事が起こるという理由で、住居部分を含む棟では火の使用が禁止されていました。食事・暖房・灯など火が必要な場面は多かったにも関わらず。温かい食事を作る場所は別棟で建てられ、集会場を兼ねた建物は「シェートステューエネ」として現在も公開されています。

ブリッゲン地区内は、古い建物を利用したカフェや土産物屋がいっぱい。是非楽しみながら散策して欲しい場所です。

最後に、1350年頃のベルゲンの街の様子を歴史的資料を元にCGで再現した映像をアップしておきます。歴史を知るってなんてロマンなんでしょう!

ランズカップレイクLandskappleik i Vågå 2019

今年もノルウェーの民族音楽の全国大会、ランズカップレイクLandskappleikに参加しました!毎年ノルウェー国内開催地を変えて、それぞれ地元の民族音楽団体が主催して開催されるランズカップレイク。今年は3年前と同じ、グドブランズダールGudbrandsdal地方はVågåでの開催でした。丸一日かけて、飛行機でまずベルゲンからオスロに移動し、そこから電車でオッタOttaまで乗り、さらに最後は30分のバスで Vågåmoという小さな街まで、途中オスロで友達に会って喋ったりしていた時間を抜いても約10時間かかりました。

Gudbrandal地方は、西ノルウェーとはまた違った美しい自然のある所で、ノルウェー一高い山、Jotunheimen山もすぐ近く。あの作曲家のグリーグも度々山歩きに訪れて曲を書き取った地元の女性、イェンディーネGjendineが赤子の時に拾われたと言われるイェンデ湖Gjendeも少し行った所にあります。前回はカップレイクに明け暮れていたため、地元に何があったのかなど、ほとんど覚えていませんでしたが、中心には元々1150年に建てられたという木造教会があったり、地域のアーティストによる革製品の店(主にトナカイの革)とかカフェなども幾つかあり、美しく楽しい街でした。

さて、ランズカップレイクとは民族音楽の全国大会だと書きましたが、色々な部門があります。まず、ノルウェーの民族音楽では欠かせない楽器といえば、フェーレfeleとハーディングフェーレhardingfeleですが、その楽器の部門が大きく分けて年齢、レベル別にそれぞれ4つあります。18才までの部門がC部門、18才から65才までがB部門、65才以上はD部門となります。18才以上のB部門のプレーヤーはそれぞれの楽器と地域で、知識・経験・演奏内容共にトッププレーヤーであると認められればA部門で弾く事ができます。この決まりはなかなかシビアで、B部門でも相当弾ける人はいくらでもいるのですが、Aに上がるにはB部門で一定ポイント(75点)以上を2度獲得しなければならず、またAに上がると基本的にBに戻ることはないのですが、大会経験に2年以上のブランクがあるとBで弾いても良いという規定があります。若いプレーヤー達の技術的な進歩は早く、常に弾いていなければレベルに追いつけないという現状もあります。Aであれば65才を超えてもAで弾くことは出来るのですが、そう言った現状も踏まえ、Dで弾くプレーヤーも多くいます。同じようなシステムが民謡の部門Vokal、ペアダンスDans、ソロダンスであるハリングHalling/Lausdansにあります。グループ演奏の部門はLagspelとGruppespelがあり、地域のグループ同士が地域対抗で行うものがLagspel、より個人芸にフォーカスした2-3人の少人数のグループ演奏がGruppespelですが、こちらは成人の部と青少年の部に分けられています。同じくダンスにもグループダンスLagdans(地域対抗で、ダンスペアがいくつもある)が成人の部と青少年の部で開催されます。より歴史的に古く、あまり数の多くない楽器はAndre eldre folkemusikkinstrumenterという部門があり、口琴やランゲレイクLangeleik、ドラムslåttetromme、笛 Seljefløyte/sjøfløyte などがここで芸を披露します。フェーレやハーディングフェーレが技術を競う傾向が強いのに対し、この部門はより珍しい楽器を見ようと歴史的探究心で観客が集まります。いつも見所が多く学びのある面白い部門です。逆により新しくこのジャンルに参入した楽器としてDurspel(アコーディオン)がありますが、こちらは30年程前よりもう一つのコンテストLandsfestivalen for gammeldansmusikkができたため、ランズカップレイクでは規模が大きくはありません。同じく成人の部と青少年の部に分かれて開催されます。ここまで書いて、まだ残っている部門があります。Open klasseといって、基本的にノルウェーfolkemusikkのジャンルに沿っていれば何をやっても良いという部門です。アレンジしたものや実験的なものが多い部門です。それはそれで判定基準が難しいのですが、上位3グループだけを選び、あとは順不同という判定になります。(注記)

私は、ハーディングフェーレのソロ部門であるSpel hardingfele Bと、LagspelをベルゲンのグループAudhildsで出場しました。毎年ソロ部門は出場するのですが、他のプレーヤーの点数配分を見ても、自分の点数を見ても、本当に些細なことで点数が上下することは常に承知しています。舞台に上がる前も上がってからも異常に緊張して思うように弾けないことばかりでいつも心が折れそうになります。今年はありがたいことに、Aへの判定へはまだ一歩及ばないものの、66点、参加者35名中11位とまずまずの成績をもらう事ができました。Audhildsは全体で7位、ハーディングフェーレのグループとしては全国2位と好成績で、こちらも皆気分上々でした。

日中のコンテストの後は、夜中2時までは会場を3つ用意して、ダンスの時間です。Audhildsもダンスの伴奏をしましたが、ダンス会場を見て回って自分の好きな場所を見つけ、友達を見つけ、踊って飲んで笑って、この音楽、お楽しみはいつも夜中です。

毎回ランズカップレイクの一番の目玉と言えば、Spel Hardingfele Aでしょう。この部門の出場者は皆実力があるため判定が特に難しく、いつも誰が勝ってもおかしくない状況でプログラムがスタートします。今年の出場者は20名、一巡目が終わってから上位3名をピックアップして決勝Finaleでもう一度3人が弾き比べ、最終的に王者を選びます。今年は決勝にPer Anders Buen Garnås、Ottar Kåsa、Alexander Aga Røynstrandが残りました。いずれの奏者も私は個人的に知っていますが、一巡目からそれぞれ最高の演奏をし、Ottar Kåsaに至っては「神のように」弾きましたが、最終的な王者はAlexander Røynstrandとなりました。AlexanderとはOleBullAkademietの同級生で、学生時代から幾度となく弾いていた(聞いていた)曲がFinaleでの演目でしたが、今回の演奏は学生時代のそれとは全く違い、いかに彼が一つの曲を時間をかけて育て上げ、発展させているかを目の当たりにしたのでした。一巡目、Finale共に彼の演奏は、奏者として本当に尊敬でき、学ぶところが多く、心から感嘆と賞賛の気持ちで一杯です!!

この決勝戦の様子はFolkemusikktimenというラジオ番組で聞く事ができます。(今週はFele A/ Hardingfele A のみです)

https://radio.nrk.no/serie/folkemusikktimen

Folkemusikktimenでは例年、しばらくはランズカップレイクの見所をピックアップして色々な部門を放送します。(実は全ての部門、録音・録画されているのです!)放送時間は毎週日曜日、ノルウェー時間18:00からでインターネット上で半年間聞く事ができます。来週は恐らく他の部門の決勝が放送されると思います。これ以外のランズカップレイクの見所は色々ありましたので、追々書いていきます。

 

注記:お詫びと訂正

ランズカップレイクの規定は毎年少しずつ改定があり、暫く見ていないと情報が古くなってしまいます。以下の点について情報が誤っていましたのでお詫びして訂正します。

Aクラスに上がってから「5年以上」のブランクがある場合はBで弾いても良い

Dクラスは「60才以上」の部

なお、Cクラスは18才未満の部ですが、12才以上である事が条件です

Open klasseは昨年から全てのグループに点数をつけるよう変更となっています。このクラスの成長ぶりは近年ものすごく、今年は21組が出場しています。クラス規定も2002年に始まった頃と比べて随分とはっきりしてきていますが、「古くから伝わる」演奏法や楽器を用いたソロ、アンサンブル(具体的には他の部門で見られるような楽器を用い、レパートリーもスプリンガルやガンガル、もしくはfolketoneなどのメロディーなどを用いる)で、従来・伝統的な演奏法に囚われないアレンジ、実験的なもの、と規定されています。演奏時間は最長6分まで。

Andre eldre folkemusikkinstrumenter(その他の民俗楽器の意味)の中に、ランゲレイクLangeleikと口琴Munnharpaも入れて書きましたが、本来はそれぞれの部門です。人数がそれぞれ多くないため、同じ時間枠に続けてコンテストが開催されます。

再びノルウェーへ

6月冒頭のコンサートが終わってすぐ、知人でピアノ調律師の小川瞳さんから連絡を受けて、大島史成さんのレコーディングに参加させていただきました。大島さんはピアノ弾き語りがメインの作詞作曲、演奏まで全てご自身で手掛けるアルバムを作成中で、作品のいくつかに弦楽器を入れたいということで、ご相談を受けました。当初、大島さんはハーディングフェーレのことなどご存知なかったにも関わらず快く参加を受け入れてくださり、私にとってもとても楽しく勉強になるレコーディングとなりました。大島さんの綿密に作られた作品が完成する日が待ち遠しいです。

今回は調弦法を2つ使い分けました。3曲参加した中の1曲だけはキーが違っていて、ふと思いついて調弦を変えてみたらこれがピッタリ。伝統曲では少し珍しい調弦法が、大島さんのポップな曲に果たして合うのかと半信半疑でしたが、これまた意外にハマったようで面白い発見でした。

調律師の小川瞳さんは、5年ほど前に私がまだヴォスのOle Bull Akademietに通っていた頃にお世話になっていたSigbjørn Apelandからの紹介で知り合いました。実は内緒にしていましたが、私はOle Bullでは副専攻でピアノとオルガンを取っていてSigbjørnはその時の恩師です。その後もアーカイブでの調べ物、ノルウェーでの日常生活の諸々の相談に至るまで本当にお世話になりました。Sigbjørnが日本公演をした時にお世話になった調律師さんが小川さんで、是非日本に帰ったら会ってくるようにと言われ、工房を訪ねたのが早5年前。そのご縁が今回のレコーディングにつながりました。

さてその後、慌ただしくノルウェーに再びやってきています。今回はFinnairで伊丹ー成田ーHelsinkiーBergenとやってきました。ベルゲンは観光都市ではありますが小さな街なので、夏の数ヶ月間しかヘルシンキからの直行便がなく、なんと今回もプロペラ機。そのちっちゃい機体の乗り場に行き着くまでにヘルシンキの空港でどれだけ歩いたか…!乗り継ぎ時間40分。空港で呼び出されたもののなんとか間に合いました。それにしても、ヘルシンキは気温25度に対してベルゲン12度。こちらに来てから毎日これくらいの気温です。

ベルゲンの街は半年ぶりですが、何も変わっておらず(当たり前か)、まるで昨日もいたかのように毎日を過ごしています。Spelemannslagとの練習、恩師との再会、楽器の修理、新しい出会い…来週はLandskappleikenでGudbrandsdalはVågåまで1日かけて大移動です!

8/29コンサートのお知らせ

さて、日本全国いよいよ梅雨入りの季節になってきました。

私は6月後半から7月後半にかけて1ヶ月ほど再びノルウェーへ旅立ちます。6月最後の週末には、ランズカップレイクというノルウェー民族音楽最大のコンテストが開かれるので、それに参加すること、友人知人を訪ねたり、楽器のメンテナンスをしたりする予定です。ランズカップレイクではソロの部門とラーグスペル部門の両方に出場します。ラーグスペルLagspelというのは、各地域ごとに作られているスペルマンスラーグと呼ばれるフィドラーグループ同士が演奏の腕を競うもので、いわば「地域対抗団体戦」。私はここ2-3年一緒に活動をしてきたベルゲンのグループ、Audhildsと出場します。ベルゲンには18才以上が参加するハーディングフェーレのスペルマンスラーグが2つあります。一つはより年配の奏者が多いFjellbekken、もう一つは学生が中心になって結成されているAudhildsです。ジュニアチームもあるのですが、実はこのベルゲンのジュニアチームは何度か全国大会を制覇したことのある強豪チームなのです。ソロ部門はそれぞれの奏者が主に出身地域の伝統曲を披露します。私はここ数年ずっとテレマルク地方の曲を演奏しています。夏の短いノルウェーでは、夏になるとここぞとばかりに数々のフォークミュージックフェスティバルが開かれますが、私はこのランズカップレイクが一番好きです。特にハーディングフェーレのソロの部門はできる限り最後までじっくり聞いて、他の奏者達の技を見て勉強したり、励ましあったりするのです。

さて、日本へ帰ってきたら守山市民会館でのロビーコンサートです。今回も榊原明子さんとの共演でお届けします。入場無料ですのでお時間よろしければ是非お越しください。

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コンサートご来場ありがとうございました

昨日のコンサート「スロッテル ノルウェーの森に伝わる音物語」にお越し下さった皆様、ありがとうございました。

今回はハーディングフェーレのソロ曲をピアノとの共演でお届けしました。プログラムの中核は様々な調弦法とそれに結びついていた時間的な流れで、朝から順に真夜中そしてまた朝に戻るまでを調弦法ごとに並べました。また、曲と共に伝わる物語を一緒にお話しし、ノルウェーの民俗文化を感じて頂きました。

ハーディングフェーレの調弦法はその音そのものを表す語(例えばG-D-A-Eなど)だけではなく様々な呼び名が付けられています。例えばトロルのチューニング・フルドレのチューニングのように民話に出てくる妖精の名前が付いているものや、ライトブルー・グリーン・グレーなど色を表す名前も見受けられます。

私はこれまで何名もの先生を得ましたが、一番最初にお世話になったBernt Balchenという師匠は色にまつわる調弦法とその意味について話してくれたことを覚えています。ヴァルドレス地方に残るライトブルー・グリーン・グレーなどの色を表す調弦法は、真夜中から朝にかけての空の色を表していて、その時間帯に使われた調弦法だったというのです。又、別の人からの話ではトロルのチューニングはトロルが活躍した真夜中に使うもので昼間には使ってはいけなかったということも聞きました。今ではそういう習慣は昔話であるばかりでなく、かつてはあった意味も殆ど忘れられてしまっています。

日本語でも夜明け前の時間帯は「薄明」と呼ばれたそうで、妖怪が出てくる時間帯と言われていたと聞きました。洋の東西を問わず、現実・非現実の境界線が曖昧になる時間帯があり、そこにファンタジーやお話が生まれたというのは面白いことだなあと思います。

写真撮影は前日阪急百貨店北欧フェアにご来場なさっていたカメラマンの堀克樹さんです。リハーサルから長時間、ありがとうございました!

さて、私たちは8月29日に守山市民会館でも演奏致します。お時間合う方は是非お越しください。

 

6月2日 コンサート Slåtter ノルウェーの森に伝わる音物語

年始から準備を開始していたコンサートまで、いよいよ後2ヶ月となり、フライヤーが完成しましたのでここにお知らせします。

ハーディングフェーレのソロ曲が中心ですが、それぞれの曲とともに伝わる物語、伝統的に使われてきた場面や時間帯などのコンテクストと共にプログラムを組み立てます。今回は、ピアニストで作曲家の榊原明子さんと共にコンサートを作っていきます。皆さまお誘い合わせの上、是非ご来場下さい!

 

スロッテル ノルウェーの森に伝わる音物語

日時:   2019年6月2日 13:30 Open 14:00 Start

会場:   堀江アルテ 大阪市西区北堀江1-18-17 モトバヤシビル7階

出演:   樫原 聡子 ハーディングフェーレ/ 榊原 明子 ピアノ

料金:   大人 前売 ¥2,800 当日 ¥3,000 /  高校生以下 前売 ¥1,300   当日 ¥1,500

ご予約:contact@satokok.com

後援: ノルウェー大使館 / 日本・ノルウェー音楽家協会

Konsert: Slåtter – musikk og historie som overlever i skogen

Endelig er det 2 måneder til konserten “Slåtter : musikk og historie som overlever i skogen”, og nå plakatene er i trykkeri. Jeg skal lage programmet med solo hardingfele slåtter i grunn, sammen med historier og gamle kultur bak slåttespel. Det er flere slåtter som er knyttet med ulike historier, og ulike felestiller hadde vært knyttet med tidspunkt og seremonier i gamle tiden. Jeg skal spille hardingfeler og fortelle historier.

Jeg skal ha med en dyktig kvinnelig pianist, Akiko Sakakibara. Hun har jobbet med komponering av egne låter og improvisasjon, og er spesifissert med å spille piano med “japanske vri”. Hun har jobbed med norske artisten Marja Mortensson da Marja besøkte Japan. Overlaskende faktum er at jeg og Akiko studerte i samme skole i Japan, og vi har kjønt hverandre lenge. Jeg er veldig spent med hvordan norske hardingfeleslåtter blir denne gangen. Så langt har øvingene gått fint, og vi gleder oss veldig mye til konserten 2. juni!!

Spellemann 2018

先週の土曜に、ノルウェーのグラミー賞と呼ばれる、スペルマン賞が発表になりました。毎年、3月にその前年1年間に発表されたCDの中からそれぞれのジャンルでベストアルバムを選ぶものです。昨年の伝統音楽部門はAnne HyttaのStrimurが選ばれました。

そして、今年、昨年の11月に3度目の来日公演を果たしたMarja Mortenssonのアルバム<<Mojhtestasse – Cultural Heirlooms>>がノミネートされていましたが、見事、本賞を受賞されました。Gratulerer!!

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その他のノミネート作品は以下の通りです。

Aslak Brimi Kvartett

«Vev»

Johanne Flottorp

«Johanne Flottorp»

Sudan Dudan

«Heimen der ute»

Marja Mortensson

«Mojhtestasse – Cultural Heirlooms»

ノルウェーで手軽に楽しめる美味しい食べ物

このブログのノルウェーの食べ物のページを、時々見てくれいている人がいることを検索結果で確認したのですが、ノルウェーの食べ物というタイトルなのに、地味な内容であったことを反省しています。今回は外食が高いノルウェーでも手軽に喰べられれて美味しい、お土産にも適しているノルウェーの食べ物を書いていきたいと思います。今度もある意味地味な内容ですが。。ノルウェーを離れてから半年。そろそろ食べ物が恋しくなってきました。

1、コーヒー

ノルウェーのコーヒーは美味しいです。私は特にコーヒー党というわけではありませんが、ノルウェー人のコーヒー消費量は世界でも有数だそうで、よく飲むから味も良いということのようです。味は酸味のあまり強くないものが好まれるような印象を持っています。街にはカフェが点在していますが、日本で人気のアメリカ系大手チェーンはあまり見かけません。聞くところによると、ノルウェーでは古くからあるカフェ文化が強かったので外国からの大手チェーンがなかなか参入できなかったらしいのです。写真はオーガニックベーカリー、ゴットブローGodtBrødのコーヒーとオープンサンド。

Godt Brød HP: https://www.godtbrod.no

2、サーモン

言わずと知れたサーモン大国ノルウェーですが、実はほとんどは養殖です。でもやはり美味しいです。スーパーの冷凍コーナーに大きなサーモンが1尾丸ごと冷凍されているのをみて、いつかはこれを自宅のオーブンで調理してみたいと思いつつ、夢が叶わぬまま日本に戻ってきました(実際、オーブンより大きかったです)が、次回ノルウェーに行った時にまた試したいと今でも思っています。

3、ビール

これまた私はアルコールが強くないにも関わらず、ビールが美味しいのがノルウェーです。ノルウェーのビール造りは歴史が長く、バイキング達も既にビールは作っていたそうです。昔から夏とクリスマス時期2回に分けて醸造していたそうで、その習慣は今でもクリスマスビール Juleølが12月になると各ビール会社から出されることにも残っていますが、レシピの方は随分と変わってしまっているようです。最近は新しい地ビールが次々と誕生していて、様々な銘柄と味わいで楽しませてくれます。

アルコール規制の非常に強いノルウェーでは、スーパーで買えるアルコール類はビールやサイダー系のみで(アルコール度数の強いものは専売のヴィンモノポーレVinmonopoletで販売しています)、朝9:00から夜8:00までしか販売してくれません。旅先でスーパーで買い物する際はくれぐれも気をつけましょう。写真は西ノルウェーはフロムにある地ビール、エギールÆgirのビール缶。こちらもほとんど街のスーパーで見かけるものです。(外国から日本への酒類の持ち込みは制限がありますので注意しましょう)

Ægir bryggeri HP: https://aegirbryggeri.no/?lang=no_NO

Aegir_Crown

4、フィスケカーケFiskekake

この食べ物は、日本人にはある意味馴染みのある味で、魚の擂り身を焼いて作る、カマボコのようなモノなのですが、それが大きくお皿に乗っているのには最初はいささか違和感があったものでした。私の住んでいたベルゲンには有名なフィスケカーケの店Søstrene Hagelinがあり、お昼時になると、50クローネ前後の簡単なランチとしてフィスケカーケをバンに挟んでバーガーとして食べることができます。外食の高いノルウェーでは100クローネ以下で食べられるランチとして地元の人にも人気がありますし、外国からの観光客にもオススメしたいところです。フィスケカーケ1個だけなら15クローネ前後(2-300円前後)と町歩きでちょっと小腹が空いた時にかじるのにもちょうど良いお値段です。

Søstrene Hagelin HP: https://www.sostrenehagelin.no

Fiskeburger

(写真はYelpから借りています)