ランズカップレイクLandskappleik i Vågå 2019

今年もノルウェーの民族音楽の全国大会、ランズカップレイクLandskappleikに参加しました!毎年ノルウェー国内開催地を変えて、それぞれ地元の民族音楽団体が主催して開催されるランズカップレイク。今年は3年前と同じ、グドブランズダールGudbrandsdal地方はVågåでの開催でした。丸一日かけて、飛行機でまずベルゲンからオスロに移動し、そこから電車でオッタOttaまで乗り、さらに最後は30分のバスで Vågåmoという小さな街まで、途中オスロで友達に会って喋ったりしていた時間を抜いても約10時間かかりました。

Gudbrandal地方は、西ノルウェーとはまた違った美しい自然のある所で、ノルウェー一高い山、Jotunheimen山もすぐ近く。あの作曲家のグリーグも度々山歩きに訪れて曲を書き取った地元の女性、イェンディーネGjendineが赤子の時に拾われたと言われるイェンデ湖Gjendeも少し行った所にあります。前回はカップレイクに明け暮れていたため、地元に何があったのかなど、ほとんど覚えていませんでしたが、中心には元々1150年に建てられたという木造教会があったり、地域のアーティストによる革製品の店(主にトナカイの革)とかカフェなども幾つかあり、美しく楽しい街でした。

さて、ランズカップレイクとは民族音楽の全国大会だと書きましたが、色々な部門があります。まず、ノルウェーの民族音楽では欠かせない楽器といえば、フェーレfeleとハーディングフェーレhardingfeleですが、その楽器の部門が大きく分けて年齢、レベル別にそれぞれ4つあります。18才までの部門がC部門、18才から65才までがB部門、65才以上はD部門となります。18才以上のB部門のプレーヤーはそれぞれの楽器と地域で、知識・経験・演奏内容共にトッププレーヤーであると認められればA部門で弾く事ができます。この決まりはなかなかシビアで、B部門でも相当弾ける人はいくらでもいるのですが、Aに上がるにはB部門で一定ポイント(75点)以上を2度獲得しなければならず、またAに上がると基本的にBに戻ることはないのですが、大会経験に2年以上のブランクがあるとBで弾いても良いという規定があります。若いプレーヤー達の技術的な進歩は早く、常に弾いていなければレベルに追いつけないという現状もあります。Aであれば65才を超えてもAで弾くことは出来るのですが、そう言った現状も踏まえ、Dで弾くプレーヤーも多くいます。同じようなシステムが民謡の部門Vokal、ペアダンスDans、ソロダンスであるハリングHalling/Lausdansにあります。グループ演奏の部門はLagspelとGruppespelがあり、地域のグループ同士が地域対抗で行うものがLagspel、より個人芸にフォーカスした2-3人の少人数のグループ演奏がGruppespelですが、こちらは成人の部と青少年の部に分けられています。同じくダンスにもグループダンスLagdans(地域対抗で、ダンスペアがいくつもある)が成人の部と青少年の部で開催されます。より歴史的に古く、あまり数の多くない楽器はAndre eldre folkemusikkinstrumenterという部門があり、口琴やランゲレイクLangeleik、ドラムslåttetromme、笛 Seljefløyte/sjøfløyte などがここで芸を披露します。フェーレやハーディングフェーレが技術を競う傾向が強いのに対し、この部門はより珍しい楽器を見ようと歴史的探究心で観客が集まります。いつも見所が多く学びのある面白い部門です。逆により新しくこのジャンルに参入した楽器としてDurspel(アコーディオン)がありますが、こちらは30年程前よりもう一つのコンテストLandsfestivalen for gammeldansmusikkができたため、ランズカップレイクでは規模が大きくはありません。同じく成人の部と青少年の部に分かれて開催されます。ここまで書いて、まだ残っている部門があります。Open klasseといって、基本的にノルウェーfolkemusikkのジャンルに沿っていれば何をやっても良いという部門です。アレンジしたものや実験的なものが多い部門です。それはそれで判定基準が難しいのですが、上位3グループだけを選び、あとは順不同という判定になります。(注記)

私は、ハーディングフェーレのソロ部門であるSpel hardingfele Bと、LagspelをベルゲンのグループAudhildsで出場しました。毎年ソロ部門は出場するのですが、他のプレーヤーの点数配分を見ても、自分の点数を見ても、本当に些細なことで点数が上下することは常に承知しています。舞台に上がる前も上がってからも異常に緊張して思うように弾けないことばかりでいつも心が折れそうになります。今年はありがたいことに、Aへの判定へはまだ一歩及ばないものの、66点、参加者35名中11位とまずまずの成績をもらう事ができました。Audhildsは全体で7位、ハーディングフェーレのグループとしては全国2位と好成績で、こちらも皆気分上々でした。

日中のコンテストの後は、夜中2時までは会場を3つ用意して、ダンスの時間です。Audhildsもダンスの伴奏をしましたが、ダンス会場を見て回って自分の好きな場所を見つけ、友達を見つけ、踊って飲んで笑って、この音楽、お楽しみはいつも夜中です。

毎回ランズカップレイクの一番の目玉と言えば、Spel Hardingfele Aでしょう。この部門の出場者は皆実力があるため判定が特に難しく、いつも誰が勝ってもおかしくない状況でプログラムがスタートします。今年の出場者は20名、一巡目が終わってから上位3名をピックアップして決勝Finaleでもう一度3人が弾き比べ、最終的に王者を選びます。今年は決勝にPer Anders Buen Garnås、Ottar Kåsa、Alexander Aga Røynstrandが残りました。いずれの奏者も私は個人的に知っていますが、一巡目からそれぞれ最高の演奏をし、Ottar Kåsaに至っては「神のように」弾きましたが、最終的な王者はAlexander Røynstrandとなりました。AlexanderとはOleBullAkademietの同級生で、学生時代から幾度となく弾いていた(聞いていた)曲がFinaleでの演目でしたが、今回の演奏は学生時代のそれとは全く違い、いかに彼が一つの曲を時間をかけて育て上げ、発展させているかを目の当たりにしたのでした。一巡目、Finale共に彼の演奏は、奏者として本当に尊敬でき、学ぶところが多く、心から感嘆と賞賛の気持ちで一杯です!!

この決勝戦の様子はFolkemusikktimenというラジオ番組で聞く事ができます。(今週はFele A/ Hardingfele A のみです)

https://radio.nrk.no/serie/folkemusikktimen

Folkemusikktimenでは例年、しばらくはランズカップレイクの見所をピックアップして色々な部門を放送します。(実は全ての部門、録音・録画されているのです!)放送時間は毎週日曜日、ノルウェー時間18:00からでインターネット上で半年間聞く事ができます。来週は恐らく他の部門の決勝が放送されると思います。これ以外のランズカップレイクの見所は色々ありましたので、追々書いていきます。

 

注記:お詫びと訂正

ランズカップレイクの規定は毎年少しずつ改定があり、暫く見ていないと情報が古くなってしまいます。以下の点について情報が誤っていましたのでお詫びして訂正します。

Aクラスに上がってから「5年以上」のブランクがある場合はBで弾いても良い

Dクラスは「60才以上」の部

なお、Cクラスは18才未満の部ですが、12才以上である事が条件です

Open klasseは昨年から全てのグループに点数をつけるよう変更となっています。このクラスの成長ぶりは近年ものすごく、今年は21組が出場しています。クラス規定も2002年に始まった頃と比べて随分とはっきりしてきていますが、「古くから伝わる」演奏法や楽器を用いたソロ、アンサンブル(具体的には他の部門で見られるような楽器を用い、レパートリーもスプリンガルやガンガル、もしくはfolketoneなどのメロディーなどを用いる)で、従来・伝統的な演奏法に囚われないアレンジ、実験的なもの、と規定されています。演奏時間は最長6分まで。

Andre eldre folkemusikkinstrumenter(その他の民俗楽器の意味)の中に、ランゲレイクLangeleikと口琴Munnharpaも入れて書きましたが、本来はそれぞれの部門です。人数がそれぞれ多くないため、同じ時間枠に続けてコンテストが開催されます。

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